【山口県・川棚温泉】旅館さんろじ
こちらは、全室露天付き離れという贅沢な温泉宿である。デザインのコンセプトは「内に開く」。耳で聞くだけでは少し分かりにくい言葉であろう。だが、客室の扉を開けた瞬間、その意味は否応なく理解できる。1日8組限定のこぢんまりした小宿…というイメージが、良い意味で覆されるのだ。
扉の奥に広がる空間は、まさに「内に開く」。広い客室が目の前に現れ、その奥にはベッドルームや露天風呂などの、新たな空間が展開されている。そう、「奥行き」や「展開」を設計したデザインとなっているのだ。客室にはコーヒーメーカーも備えられ、自由にいただける。客室がコーヒーの香りに満たされれば、さらにくつろげることだろう。
夜闇が迫る頃、食事処へ。客室ごとに個室が用意されている。食前酒や先付け、前菜に続き、お造りが運ばれてきた。旬の刺身が贅沢に盛られている。ここ川棚温泉は山々を借景に構えるゆえ、一見山あいの温泉地に思えるが、間近に日本海を据える好立地。海・山の両幸が手に入るため、豪華な料理内容が可能なのだ。さらには下関名物・フク刺し、もしくは鯨肉が登場。鯨の場合は、舌の部分にあたる「さえずり」を刺身でいただく。牛しゃぶ(季節で変更あり)や、川棚名物の瓦そばまで揃った豪快なボリュームにも驚かされた。
客室へと戻り、柔らかな湯につかる。天を仰ぐと、遙か上には満天の星空。「外へ、外へ」「上へ、上へ」。常に人は走り続ける。それが悪いとは思わない。しかし「内に開く」、この言葉は深い。この宿には、それがデザインされている。人もそうあれたら…その願いを胸に、宿での夜は更けていった。
『旅館さんろじ』
山口県下関市豊浦町川棚湯町5153
TEL:083(772)0227
- ○通常料金:1泊2食/23,000円?※休前日も同じ
- ○泉質:弱放射能-カルシウム・ナトリウム塩化物泉
- ○温泉施設:客室露天(内湯付き)5・客室露天3
- ○部屋数:離れ和洋8





